この記事は、『サイン = 信仰のレコンギスタ 1』からの続きになります。そちらを読んでから、こちらをお読み下さい。更に、この記事は『サイン』という映画のネタバレを盛大に含みます。素晴らしい映画ですので、Amazonプライムビデオなどで視聴してから、この記事をお読みください。
信仰は再び獲得されるのか
ついに、宇宙人の襲撃が一斉に始まり、ミステリーサークルの記されたヘス一家にも宇宙人が現れます。建物が軋み、打ち付けられた板が破壊され始めます。これ以上持ち堪えられないことを悟った一家は、地下室に逃げ込みます。そこは、過去には石炭の貯蔵庫として使われ、今では倉庫になっている場所です。宇宙人はそこにも侵入しようとしますが、物音をさせるだけで無理矢理侵入しようとはしません。その宇宙人は、より良い侵入経路を探していたのです。そして、グラハムはその地下室には、石炭の貯蔵庫として使われていたときの搬入口があることを思い出します。慌てて塞ごうとした時には、格子越しに、息子のモーガンが宇宙人に捕まってしまっていました。必死に宇宙人を追い遣り搬入口を塞ぎます。

救出することには成功しますが、そのショックでモーガンは喘息の発作を起こしてしまうのです。発作が悪化し気道が塞が塞がれば、当然モーガンは呼吸ができずに死亡してしまいます。それを防ぐためには、注射を打たなければなりません。しかし、その注射器と薬を手に入れるには、宇宙人のいる場所に行かなければならないのです。意識のないモーガンを抱き締めたグラハムは、励ましながらチャンスを待ちます。
宇宙人との対決
ラジオを聴いていたメリルは、負傷した仲間を残して、宇宙人達が撤退し始めたことを知ります。警戒しながら地下室から抜け出し、薬を手に入れ、振り返ったグラハムとメリルは、モーガンを抱いた宇宙人と鉢合わせます。一家を襲った宇宙人は指に怪我をしていたため、宇宙船に戻らずそのまま取り残されていたのです。そして更に最悪なことに、宇宙人はモーガンに毒を吹き掛け殺そうとするのです。一度は救われたかと思われた一家は、考えられる限り最悪の状況に陥ってしまっていたのです。

その状況下で、グラハムの脳裏に妻のコリンの最期の姿が浮かんできます。それはグラハムが信仰を失い、牧師を辞める切っ掛けにもなった出来事でした。コリンは「グラハムには、あの人には『見て』と伝えて。メリルには『フルスイングして』と伝えて」と言うのです。追い詰められた状況で、コリンの言葉の通り、グラハムは見るのです。グラハムの視線は、壁に飾られてあるメリルのバットを捕えます。バットを見たグラハムは、傍らのメリルに対して、「フルスイングしろ。メリル、フルスイングだ」と伝えます。言われた通りに、バットを手に取ったメリルは、宇宙人をフルスイングで殴りつけます。その攻撃によって、宇宙人は抱えていたモーガンを取り落とします。しかし、放す前に毒ガスをモーガンに吹きかけていたのでした。グラハムはモーガンを救出し、メリルは宇宙人を殴り続けます。

棚に体をぶつけた宇宙人の上に、ポーが飲み掛けのまま置いていたグラスに入った水が落下するのです。宇宙人の体の、水の掛かった部分が火傷のように変化し、宇宙人は悲鳴を上げます。宇宙人の弱点は『水』だったのです。弱点に気付いたメリルは、次々とポーが置いたままにしていたグラスを宇宙人に向かって打ち付けていきます。水飛沫が降り注ぎ、弱り始めた宇宙人に渾身の一撃を打ち込みます。宇宙人が棚に倒れ込み、バランスを崩した棚の上のグラスから大量の水が宇宙人に降り注ぎ、結果的にその宇宙人は息絶えるのでした。
エンディング
意識のないモーガンを外に連れ出し、グラハムは注射を打ちます。しかし、モーガンは呼吸をしていません。宇宙人に嗅がされた毒ガスのせいで、命を失ってしまったかという疑いが広がり、それは確信に変わろうとします。それでも、グラハムは「発作はこのためだ。毒は絶対入っていない。モーガンの気道は塞がってた」と言って、状況を受け入れようとはしません。この台詞の中で注意しておきたい部分があります。グラハムは「発作はこのためだ」というのです。宇宙人の毒を吸い込まないように、モーガンの気道は発作によって塞がれていたのです。つまり、発作が起こったのは偶然ではなく、毒を吸い込まないようにするためだったのです。ずっと喘息を患っていたことすらが、必然であると言っているのです。

そして、モーガンは意識を取り戻します。やはり、発作が起こったことにより、モーガンの軌道は塞がっており、毒ガスを吸い込まずに済んだのでした。意識が戻ったモーガンは「助けてくれたの?」と聞きます。その問いに対して、グラハムは自分が助けたとは答えないのです。「ああっ、誰かが助けてくれた」と答えるのです。
そして、映画はエンディングを迎えます。季節すら移り変わり、綺麗に修復された部屋の様子が映し出されます。わずかに開いたドアからグラハムが現れます。グラハムは牧師の服を着ていたのです。宇宙人襲来まで、何処か落ち着かず不安げだったグラハムは、上着を羽織ると颯爽と歩き出し、画面はエンドロールへ続きます。
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またまた、思いのほか記事が長くなってしまったので、『サイン = 信仰のレコンギスタ 3』へ続きます。ここから信仰をどう取り戻すかという本題に入るので、もうしばらくお付き合い下さい。
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